費用の目安とかけるポイント
近年では、サイバーセキュリティ対策を行うためには一定の費用が掛かります。
もちろん、貴社の規模や扱う情報の機密度合いによって、どの程度の費用をかけるかは変わってきますが、全く予算をかけずにセキュリティ対策を行うのは不可能なことです。
そこで、今回の記事では、サイバーセキュリティ対策を行う際に、どのような分野にどれだけの費用をかければよいかについて解説します。
セキュリティ対策の参考にしていただければ幸いです。
▶目次
1、サイバーセキュリティ対策費用の目安
サイバーセキュリティ対策費用を考える際に、どの程度の金額をかけるべきかについて、統計などを参考にしながら検証していきましょう。
企業規模によるサイバーセキュリティ費用の統計
中小企業庁が取りまとめた「2016年版中小企業白書」によると、中小企業と大企業とでは、サイバーセキュリティ費用にかける金額に大きな違いがあります。
大企業でのサイバーセキュリティ対策費用は、「1,000万円以上」、あるいは「わからない」が最も多く費用が高額となっているのに対して、中小企業では「50万円未満」「50~100万円」が最も多い割合を占めています。
単純に企業の体力として、大企業の方が費用をかけられるという側面もありますが、サイバー攻撃に合った際の損害額の大きさ、保管している顧客情報の量、教育を施さなければならない従業員の数など、大企業の方が講じなければならない範囲が広いため、企業の規模に比例する傾向があります。
業態による幹部のサイバーセキュリティへの関与の度合いの違い
サイバーセキュリティ対策費用の相場は業態によっても大きく異なります。
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会がまとめた「企業IT動向調査2018」によると、金融業界では81.0%もの企業が、情報セキュリティの管理に経営幹部が強く関わっています。直接、対策費用を表すデータではありませんが、建築・土木(34.9%)、商社(26.0%)、サービス(37.2%)と比較して非常に高い数値です。
また一般的に、中小企業であっても、IT業界など高いレベルのセキュリティ対策が必要とされる業態があります。
サイバーセキュリティ対策費用はあくまでも目安
サイバーセキュリティ対策費用の相場はあくまでも目安です。
小規模だから予算をかけなくても問題ない、という考え方ではなく、サイバー攻撃を受けた際の被害を表面化、顕在化させないためにはどうすればよいかということを念頭に置いて、費用を検討しましょう。
中小規模であっても、会社の損害を揺るがすような大きなダメージのある攻撃が仕掛けられることもありますし、サイバー攻撃によって情報流出が起こった際に許されるわけではありません。
2、サイバーセキュリティ対策費用をかけるポイント
情報は、今や、人・モノ・カネに次ぐ第4の資源と言われています。情報資源を守るために投じるべきセキュリティ対策費用の項目について紹介します。
セキュリティ対策構築費用
サイバーセキュリティを構築するためには、ファイアーウォールやセキュリティ対策ソフトなどの導入が不可欠です。
オフィスのネットワークを安全に保つためには、常に最新の設備をアップデートして使用する必要があり、いったん導入すれは盤石と言わけではなく、継続的にセキュリティ対策を講じていかなければなりません。
また、PC機器や複合機などネットワークに接続している機器が旧機種の場合、セキュリティ対策ソフトが新しくても攻撃の侵入を許してしまうケースがあります。
IT機器、ハードウェア、ソフトウェア、配線など総合的にセキュリティを考え、対策する必要があります。
内部対策費用
社内のスタッフに対して研修やテストを実施するために、費用をかけることも必要です。
例えば、サイバーセキュリティ対策チームを作り、通常の業務外とは別に学習する時間を設けたり、セミナーや資格試験を受講したりする必要があります。
また、個々のスタッフに対してサイバーセキュリティの知識やルールを徹底化するために、会議室を借りて研修や社内テストを実施したり、標的型攻撃を装ったテストメールを一斉送信したりするなどの対策を、費用をかけて実施する必要があります。
サイバー保険
万が一、サイバー被害にあった時のために、サイバー保険を掛けるのも一つのサイバー攻撃対策の費用と言えます。
個人情報保護の重要性が増していることや、コンピューターで大量の顧客情報の保護を行えることなどから、サイバー攻撃に合った時の被害額は甚大なものとなっています。不安にいたずらにおびえたり、どこまで対策を講じればよいかわからずに右往左往したりするより、保険をかけて本業にある程度集中できる体制を取るのも一つの手段です。
3、まとめ
この記事では、サイバーセキュリティ対策にかけるべき費用の目安と、どういった分野に費用をかけるかについて解説しました。
サイバーセキュリティ対策に費用をかけるのは、近年のサイバー攻撃の多様化、複雑化や被害時の損害の大きさを考えると当然のことです。
大企業ほどサイバーセキュリティ費用に金額を多く費やす傾向があります。また、業種によっても厳重な対策が求められる業種があります。しかし、重要なポイントは、自社にとって必要な対策をしっかりと講じることです。
具体的には、設備の構築、社内教育、サイバー保険に費用が発生します。